<検証・復興への道 第7回>物産売り込み、町外発信に課題

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点在する情報 減るボランティア

「大槌といえば…」。ボランティアや復興従事者が訪れるようになったことを受け、物産品を売り出し、地域のアピールや雇用創出につなげる動きが被災地に出始めている。大槌町は観光地でなかったこともあり代表的な物産に乏しかったが、大槌名産につながる動きが出始めている。町も新年度から新たな物産品づくりに乗り出す。

復興食堂に土産コーナー

おらが大槌夢広場が運営する「復興食堂」に2013年1月、お土産コーナーがお目見えした。菓子や水産加工品、アクセサリーなど町内物産品をはじめ、大槌関連をテーマにした出版物から地元民謡歌手・臼澤みさきさんのCDまで約30種を集め販売している。

今年1月、おらが大槌夢広場の復興食堂に開設された「お土産コーナー」

昨年までは、レジわきなどに置いて小さく販売していたが、食堂スペースの一角を空けて本格コーナーを開設した。町内各店に出品を呼び掛け、手数料を取りながら販売する。町外から多く訪れる同食堂の来店客や支援ボランティアにとっては、各店を回らずに物産品を選ぶことができると好評だ。

逆に言えば、これまでは観光客やボランティアがお土産を買おうと思っても、個別の店を回るしかなくどのような商品があるのか情報も少なく、気軽に見ることも出来なかったと言える。いまや物産を売り込むのは観光地に限らず、道の駅などでも行われているからだ。

情報発信する場所を

ワカメ養殖を営む漁師の妻らでつくる「マリンマザーズきりきり」は、同食堂のお土産コーナーに「わかめかりんとう」を協力出品している。子ども向けに開発した商品だったが、仮設食堂「よってったんせぇ」立ち上げを機に本格販売したところ、ボランティアの口コミなどを通じて広まった。

芳賀カンナさんは「各店でお土産を作っているが、点在してしまっていることやアクセスの悪さが課題。どこかに情報発信する場所があって、そこで売ることによって、お互いの商品価値を高め合えるのではないだろうか。ボランティアはこれから絶対に減るから、人との交流をなんとか維持して外の人たちに売り込んでいかないといけない」とPRの大切さを強調する。

復興食堂では、自らも商品開発を進め、地元農家が細々と作っていた「ピーマン味噌」を仕入れて瓶詰めし並べたところ、売り切れが続いている。上野拓也さんは「大槌(の中)で消費していくという考えが強かったが、大槌の物産品はもっとある」と、魅力ある物産の掘り起こしに自信を見せる。

ほれ込んでもらう努力を

水産加工業者らによる地場産品復興を目指すプロジェクトから生まれた「ど真ん中・おおつち協同組合」は、2012年夏からネット通販も手掛け、新商品を次々と売り出している。

「ターゲットを町外に置いていかないと、伸びていかないという意識は常に持っている。復興、復興なんていつまでも言っていられない。自分たちの商品にほれ込んでもらう努力をしなきゃいけない」と芳賀政和代表。ホームページのほか、ツイッターやFacebookページなどソーシャルメディアも勉強して、活用している。

大槌産めかぶを使ったシフォンケーキなどを販売する福幸きらり商店街の「手作り工房シフォン」は既に公式サイトとブログを開設し商品を紹介している。小林波子さんは「ボランティアがこれからはあまり入ってこないだろう。三回忌を機にもう被災者のシフォンさんではなく、大槌のシフォンさんと言ってもらえるようにしたい」と述べる。

町外への意識を持つのは、福幸きらり商店街で鮮魚や海産物を扱っている河合商店も同じだ。いまのところ来店客のほとんどは地元住民だが、河合秀保さんは「(大槌の人たちは)いいものはつくっても外に発信するのは苦手。震災前は、わざわざ外に売り出す必要性や需要に気付かなかった。震災後は外の人とのつながりが増え、町外への売り出しを考えるようになった」と近くホームページを開設する予定だ。

ただ、このようなインターネットでの販売やソーシャルメディアでの情報発信が出来ているのは、ごく一部にとどまる。町外への発信や販路の開拓は、これまで大槌では経験がない取り組みだ。物産が転機を迎えつつあるが大槌商工会の佐々木幸夫事務局長は、組織的なアピールや開発支援など下支えについて「取り組みたいが、そういう状況にない」と話す。被災した会員の営業支援で手いっぱい状態。震災前は同商工会に事務局を置いていた大槌町観光協会も完全休止状態となっている。

名産品づくりへ予算計上

大槌町は新年度予算案に名産品づくりに向けた予算を計上。町商工労政課の三浦大介課長は「大槌の代表的な特産品は何かというと難しい。新巻鮭やわかめは名前がよく出るが、これはとうものに乏しい」と話す。

行政として名産品づくりにどこまで関わるかなど悩みもあるが、人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされトヨタのテレビCMにも登場した蓬莱島の活用や、大槌が発祥地とされる新巻鮭、B級グルメなどが候補になりそうだ。

記事=松本 裕樹